2018年3月10日土曜日

【感想】I Love you と言ってくれ

雨さんの短歌ネプリ企画「I Love youと言ってくれ」に嫉妬林檎も参加させていただきました。この企画は、「愛」「恋」「好」など直接的な言葉を使わずに「愛している」を詠むものです。




いくつか感想を。

先生はご存じかしらわたくしの気持ちが辞書に載っているのを/水無月水有
先生は辞書を持ち歩く国語の担当でしょうか。「ご存じかしら」と言いつつもわたしは先生が知らないことを分かっているのだと思います。シチュエーションはよくあるものですが、言葉遣いと秘密の感情がマッチしていて素敵です。


春の降る横断歩道を渡ろうか小指と薬指をつないで/大橋春人
「春の降る」は日差しや季節の花びらをイメージし爽やかな雰囲気が良いです。下句はなぜ小指と薬指なのかということが最後まで読みきれませんでした。おそらくここがこの歌の重要なポイントだと思うのですが…ううん難しい。


陽だまりを背中に乗せてうたた寝をするこのひとに会うためだった/千原こはぎ
付き合いたてのカップルにも長年連れ添ってきた夫婦にも読めて、どちらの場合でも優しい、まさに陽だまりのような情景が目に浮かびます。この人に会うためのうたた寝。愛、愛です。


鍋の具を買うスーパーで保冷庫の冷気を浴びたときにわかった/道券はな
冷気を浴びてわかったことは相手への恋心。ここで!?という思いとここしかない!という絶妙な場所とタイミングが素晴らしいです。この衝撃は短歌ならではですね。



最後に拙歌を。

包丁は慣れてないけど白妙のきみに届ける8羽のうさぎ/嫉妬林檎
「白妙」を使いたかっただけなんてことはたぶんない。

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