2019年6月1日土曜日

【感想】スーパーマッシブ(2/2)

いくぜ後半戦。
(前半はこちら


カー解と誤字にまみれた六法とわたしを喰らう鬼さんどちら/@aokikenichi「柘榴」
カー解についてはこちら(いや、お恥ずかしながら全くわかりません)。カー解だけでなく物理学や数学に関連した単語や人名が随所に見られますが、どこか幼さを感じる言葉遣いと見事に調和しています。

ミスドでは話せないことを話します窓の外では明日まで雨/ななの「それでもいいよ」
「ミスドでは話せないこと」からオープンな場所では話せないような込み入った内容だと想像ができます。しかしここでの重点は下句ではないかと思います。単なる情景描写ではなく、雨であなた(聞き手)は明日まで帰れない=明日まで続くような長い話をする、というように感じ取りました。いったいどんな話なのか、興味が尽きません。

リサイクルボックス行きの空き缶のどの局面を死期と呼ぼうか/堂那灼風「相似」
連作全体のテーマは”生命”でしょうか。スケールの大きく、それでいて繊細さも垣間見える歌が並びます。その中でも輪廻に焦点を当てているこの歌は、着眼点の妙はもちろんですが、言葉ひとつひとつの選択が特に素晴らしいです。

かなしみの標本として両耳にさがった君の真珠が欲しい/水無月水有「大マゼラン研究所」
シンプルに好きな歌です。涙のかたちにも見える君の真珠をストレートに欲しいという潔さ。しかも「かなしみの標本として」って…最高じゃないですか。いやもうこれプロポーズじゃん‥。最高。

(メリーゴーランドに嘘を持ちこんだ罪で月面まで徒競走)/はね「夢と罰」
2~4首目は夢で見た出来事を詠っているのでしょう。突拍子もない飛躍もこれが夢だと暗示するファクターのひとつになっています(夢はいつだってありえない展開の連続だ)。とても丁寧に練られた連作だと思います。こんな連作を作れるようになりたい。

悪口のような炎が胸に燃え広がる前に涙を流す/荻森美帆「誰かが百歳になったころ」
「悪口のような炎」は怒りや憎しみ、嫉妬などの負の感情。それを飛び火させないよう自ら涙を流して消火(消化)している。強いひとにしかできないことだが、果たしてこれは強さだろうか。いつかのだれかを見ているようで、主体のことを放っておけない気持ちになる。


無事に後半の感想を書くことができ、ほっとしています。
5月はTwitterでたくさんRTといいねとリプライを貰えたので嬉しかったです。
最近は急に気温が上がって体調を崩し気味です。
甘いものを食べて乗り切りたいです。
以上、近況報告?でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿