2019年5月11日土曜日

【感想】stylish century 2019 トリビュート中澤系

改元して初めての更新になります。
嫉妬林檎です。

今回は私も参加させていただいたネプリ「stylish century 2019 トリビュート中澤系」の感想です。
このネプリは歌人・中澤系さんが亡くなられて10年という節目に、中澤系プロジェクトさんが企画されました。
内容は「中澤系とわたし」をテーマとしたエッセイと、中澤系の有名な下の句”Ok, it's the stylish century”に上の句を付した短歌です。


スマホ押す指の記憶に黒電話 Ok, it's the stylish century/諏訪灯
stylish centuryの象徴ともいえる情報技術・製品が数多く詠まれている中で際立つ「黒電話」の存在感。スマホの現在(あるいは近未来)と黒電話の過去が同時に映し出され、奥行きのある一首になっています。

ごきぶりをちゃんと殺せる新聞紙 Ok, it's the stylish century/満島せしん
「ちゃんと」がいい。丸めた新聞紙で叩くというのはごきぶりを殺す一般的な手段ですが、これがなかなか殺せないんですよね。何度も何度も力いっぱい叩いてようやく殺せるという…。「ちゃんと」のひとことで、軽く叩いただけで殺せてしまうような新聞紙が生まれてきます。

コンビニへ迷いこむたびファンファーレ Ok, it's the stylish century/まちか
仕事や家事で疲れ果てたのだろうか、コンビニにただ入店したのではなく迷い込んでしまった。そんなとき聞こえてきた入店音がまるでファンファーレのようだった。よく頑張ってたねという一言の代わりになるメロディ。正しい姿とはいえないかもしれないが、これもひとつのstylish centuryなのだ。

目を閉じて終わらない坂かけ下りる Ok, it's the stylish century/辻一郎
昨今の技術の進歩は凄まじく、少しでも目を離していようものならすぐに取り残されてしまう。それでも僕たちは技術や時代の変化についていかなくてはならない。たとえ目を閉じてしまっても必死に走り続けなければならない。「かけ下りる」ことでスピード感だけでなく、自身の手の及ばないところから否応なく突き動かされている感覚が伝わってきます。

感想は以上の4首です。
ネプリの配信はすでに終了していますが、近い内にネプリに小冊子を追加したものがいくつかの書店に置かれるみたいです。私も楽しみに待っています。

令和最初の夏がやってきます。

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